料理一門会笹組のWEB裏ページにお越し頂き、ありがとうございます。
こちらは、あくまでも私の個人の部屋になっており、
主に社の仲間にあてたコメントです。

プロフィール
佐々木康二

広島県呉市出身
1992年 調理師見習い開始
1998年 「にかいのおねぎや笹木」OPEN
2002年 有限会社NOG  【現)弐会ホールディングス】設立
2006年 設計/グラフィック総合デザイン事務所 ㈱セポデザイン設立

僕は高校も大学も出てなく、中学2年生の2学期からまともに学校に行っておりません、
俗にいう ”超落ちこぼれ” です。
それでいて ”超ビビり” です。

食材の漢字さえ読めないとこから板前勉強をスタートしました。

両親も商売をしている家庭ではありませんでしたので商業スキームも皆無です。

しかし僕は、料理の勉強・サービスの勉強・税金や経営の勉強など、
育った環境やキャリア、修行期間の長さとは関係ないと思っていて、
どれだけ目の前の一つの事に集中し打込み、「縦に積み上げていくか」で如何ようにでもなり、
好きなことを得意なことに昇華させ、それを職業にすることで有意義な人生も送れるだろう信じていました。

修行1年目は「こんな作業みたいなことしてて本当に将来役に立つのか?」と日々思っていました。
 
しかし、僕はまずは一つだけでいいので自分の ”得意分野” を作ることが大切だと考えていましたので、
訳も分からずなんでも言われた事をやりましたし、好きじゃないこと、調理とは無関係の先輩の諸雑用も一所懸命しました。

そうすると、
「俺この作業好きかも? この作業なら人より好きな気がするので頑張れるし優位性が出せるかも?」
と思えるものに出会えたのです。
僕はそれがあんかけ料理とにぎり寿司でした。

何でもいいので、他人がここだけは認めてくれてる気がする、や
まかないを作ってもこの料理の時は美味いと言って頂けてる、や
お客様に提供した時、この料理の時の反応には手ごたえがある など

【包丁研ぎ、魚をさばく、掃除、刺身、元気な挨拶、揚物、あんかけ物、出汁巻、煮物、焼物などなど】

美味しい料理には基本的に全てにおいて”理論”があると思っています。

昆布(グルタミン酸)+かつを(イノシン酸)で、なぜこんなに美味しくなるのか?
ということは、
トマト(グルタミン酸)+鶏肉(イノシン酸)でも同様の旨みの掛け算になる

といった様に料理の理論や喜びを知れると、もつれた糸がほどけるように何もかもが面白くなっていきました。

おそらくイタリアンもフレンチも中華も、いうなればクリエイティブと呼ばれるプロの職業はみな「全ては基本にある」という同じ理論だと気付くのに時間はかかりませんでした。

この日本という国は、”豊かで美しい素材の宝庫” です。

したがって、この日本で調理をさせて頂くということは誇り高いものでなくてはなりません。

素材に対し 正直に寄り添い、支え、語りかけ、時にぐっと抱きしめる。

そんな気持ちで私たちは日々 調理場という名の会議室で素材と向き合い、素材の声に耳を傾け、手当てを施しています。

日々、太陽と水と大地のおかげで、素材も人間も生かされている。
ひなたのおかげで影ができ日陰でないと生きれない生命体もある。
夜があるから朝が愛おしい。
昼と夜の寒暖差、四季があるという恵みに、幸せを感じます。

同じくして、表舞台で料理をさせて頂いているその陰には、
大地と生産者様のエネルギーと努力があるから他ならない。

それを表現しているのが私達 ”笹組のシンボルマーク” です。

まだまだ私達の「心・技 空間」の勉強は続きますが、
お客様おひとりおひとりが、云万軒あるレストランの中から、
今日この日の二度とない大切なお食事にこの店を選んでくださっていることに感謝の思いは尽きません。

乱文をお許しください。  佐々木康二

 

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■得意の変数                2022.10.04佐々木  

大切な事は、
“自分ではどうやってもコントロール不可能な事にエネルギーを費やしてもうまくいかない”
という事を知っておく事です。
自分自身の ”動産”  ”不動産” を明確にすること。

コントロール不可能な事とは・・・)
生まれ育った環境、現時点の技術、許容範囲内の資本力、人種、性別、学歴、身長、性格、商圏人口、等

 

以下の①~③は自分でコントロールできる部分 “得意の変数” なので、
これらを集中的に縦に積み上げていくことが成功への活路である。

得意分野だと思っている事に矛盾がないか気付こう。
成功する者はシンプルに自分の得意な事をよく自覚しており、
やってる仕事がまさに自分にはまっている人です。

「やりたいこと」があなたの得意分野なら問題はないが、
得てして「やりたいこと」と「できること=得意な事=キャリア」は異なることが多いです。
「こうなりたい」という自分を目指すより、 「これなら他人より強い」という仕事、業務に磨きをかけること。

「色んな事に興味を持ち色んな技術や能力を努力で身に付けること」これは絶対不可能で無理でしかも失敗する作業です、無駄です!

努力は報われると言いますが違います、向いていない事、嫌いな事に努力をしても無駄です。
「得意分野に対しての正しい努力」のみが報われるのです。
※ただ勘違いしてはならないのが、経験の浅い板前、デザイナー、義務教育小中学生、
この人たちは基礎を勉強する段階、向き不向きを知るための勉強段階、のため得意じゃないから、好きじゃないからで勉強を怠ってはならない。

①自分の特徴の理解・・・僕なら、寿司・あんかけ料理・ビビり症からくる気遣い力、ミーハー
②環境の選択・・・僕なら、和食業、デザイン業
③自分の特徴を磨く努力・・・僕なら、同業他社の料理画像を季節ごと/価格帯ごとにデータ化、サービスと料理の視察
 
 
例)例えば、会社単位で言うなら、
弊社がこのコロナでアウトドア需要を感じ、キャンピングカーレンタル事業を始めたとする。
まだ広島にはこの市場が少ないので先駆け会社として前衛的な商売ができると思ったとする。
そしてもしこの事業がうまくいかないと判断した時は、
キャンピングカーを再び中古売却すれば初期投資の8割は車両下取り回収できるので、
リスクも少ないと踏んだとする。

しかしこの事業には解決されていない問題がある、それは
・競合相手との優位性
・無駄な償却費の発生
・先のビジョンの不透明さ
・相乗効果の無さ

もしこのキャンピングカーレンタル事業をトヨタレンタカーさんやスノーピークさんが新規参入し競合となった場合、果たして資本力と過去実績と信頼から鑑みたとき、弊社は勝てるのか? 
車両売却したら下取り8割だったとしても2割は必ず資産が減るので増える見込みのないただの償却費であること。
需要が増えて拡大路線に入ったときに車両整備、駐車場のサイズ、メンテ管理態勢は?ホームセンターさんがこの事業やる方が理にかなっているのではないか?
この事業をすることで本体である「笹組」にどの様なメリットがあるのか?
という問題は残ったままである。
従って、この事業に関しては勝算はかなり低いと言わざるを得ない。

要は「やりたいこと」であって「得意な事」ではないの最たるものである。
無風状態なら立っていられるが、少し風が吹くと何処かに飛んで行ってしまう事業なのである。

それならせめて笹組しかできないであろうコンテンツが組み込まれたレンタル事業にしないといけない、
例えば”料理付きパッケージツアー”が売りのキャンピングカーレンタルであるとか、
笹組の会員様には特別割引があるとか、カーシェア会社とタイアップするとかなら、
まだ競合他社との優位性が少しは感じられる。
逆にそうでない限り勝てないという理屈となる。

この得意の変数は、学生でも同じことである。
弱み部分を強化しなくてもいいし、改善しなくていいし、気にもしなくていいと私は思っています。
ただ勘違いしてはならないのが、経験の浅い板前、デザイナー、義務教育小中学生、
この人たちは基礎を勉強する段階のため得意じゃないから、好きじゃないからで勉強を怠ってはならない。
何故なら得意分野を伸ばす際に、どうしても最低限必要なスキルや学問を習得する段階だからである。
包丁を使えない、計算ができない、物事の原理原則がわからない、では得意分野をいざ伸ばすにも伸ばせないからである。

この事業のたとえ話しを、自分自身の仕事に置き換えてみるとよいでしょう。